里沼とは?
沼は、古代・万葉の頃には「隠沼(こもりぬ)」と詠われ、
水辺の草木に囲まれてひっそりとした佇まいを持ち、
人を寄せつけない神聖な場であった。
いつしか、人々が沼に近づき集う中で、暮らしと結びつき、
沼と共生した生業や文化が生まれ、沼は「里沼」となった。
里沼は、自然と暮らしが調和した生活文化を今に伝える、我が国の貴重な財産である。
新田開発や近代化の波にもまれ、各地から沼が消え去りつつある今、
館林では、時を重ねながら、それぞれの特性を磨いてきた、希少な里沼を見ることができる。
日本遺産「里沼 - 茂林寺沼」
01 - 茂林寺沼及び低地湿原
群馬県天然記念物。館林市南部にある茂林寺沼とその周囲に広がる低地湿原。低地湿原は関東平野に残る数少ないもので、今も自然環境を良好に残す。希少種のコウホネやカキツバタなどの水生・湿原植物、トンボなど湿原の貴重な動物が生息する。
02 - 茂林寺
1426年に沼の畔 に「祈りの場」として開山した茂林寺。江戸時代の本堂・山門があり、茅葺屋根には茂林寺沼の葦 が使用されてきた。貉 (狸)の化身・守鶴 がもたらしたという茶釜 「分福茶釜」が伝わり、明治期に巌谷小波 の童話 で全国に知られるようになった。
03 - 茂林寺 のラカンマキ
茂林寺の本堂前にある樹齢約600年、樹高14mの巨木。茂林寺の開山とともに、刃先が尖っているため魔除けとして植えられ、「祈りの場」となった歴史を伝える。